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進学校の落ちこぼれ女子

第5章 あたりまえ


テスト休み明けの朝。

うちの学校では廊下に50番までの人の氏名が貼り出される。

私には全然関係ないイベントだと思ってたけど…。

私は貼り出された氏名の上の方を見てみる。

1 山本 祐樹

すごい! 一番だ!

教室に入ったら、自分の席で本を読んでいる山本くんをみつけた。

「一番だね。おめでとう!」

私は声をかけた。

山本くんは得意げに微笑む。

「ふふ…あたりまえ」

「そうなんだ」

「後はさやかちゃんだね」

「うん…」

「大丈夫だよ」

山本くんが私の顔を見て優しく言った。うん。



私の一番苦手で心配な数学は一番最後に返ってきた。

先生が返してくれた答案用紙をその場で見る。

60点

やった! 赤点じゃないし予想より10点も上。

席に戻るとき、山本くんの方を見てみる。

ちょっと心配そうに私の方を見てる。

私がニコッと笑うと、彼も安心したようにニッコリ笑った。



放課後に、バスケ部の顧問の先生に再入部をお願いしに行って許可をもらった。

明日から練習に参加出来る。やった!

図書室の窓から女子バスがランニングするのを眺める。

「今日は勉強しないの?」

後ろから山本くんに声をかけられる。

「あ、山本くん。もう生徒会終わったの? 宿題はもうやったよ」

「そうなんだ。えらいね」

彼がほめてくれる。えへへ。

「今日はちょっとしかなかったからね。…明日から練習出ていいよって」

「そっか…」

彼が嬉しそうに、でもちょっと寂しそうに微笑んだ。

「帰ろっか」

「うん」

私は彼の言葉にニッコリ笑って返事する。

彼もちょっと照れくさそうに笑い返して言う。

「今日、早いから…家来れる?」

「うん」

明日は…行けないもんね…。
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