※メンタルタフ妄想秒速okな人向け
97続き
海岸は隙間がないほど、テントがびっしりであった。
これじゃ迷子になるので、外出時は屋根の上に目印をおくことにした。
私が持ってきた、ビニール特大リアルワニである。
爬虫類が好きな私は、何故か子供の頃特にワニが好きで、
一目惚れで買ったものだった。
今まで使わずに、大事にしまっておいたのだが、
今日こそ皆で使うときだと思って持ってきた。
それが良かったのだ。
周りはあの有名な可愛いシャチばかり。
海の家にも動物系はそれしかない。
数多の美女がそれにまたがり、
ともすれば風で飛ばされて追いかけていたり、
海に流されていたり、
既に行方不明になっているシャチも見受けられたが、
このリアルワニは誰も持っていなかった。
そりゃそうだよ、大多数の人は可愛いシャチを買うだろうよ。
しかもシャチよりデカかった。
テントの上に引っ掛けたら、
遠目からでもめちゃくちゃ目立った。
この鮨詰め海岸のオンリーワン最高。
宇佐美「え〜!海と言ったらビキニでしょ?!」
私「……」
ムッツリドスケベ変態宇佐美君が何か言っているが、
私はビキニの上に、
水場用の短パンオーバーオールを着ることにしたのだ。
私「よーし!海入るぞー!」
と言った私の横を、何者かが走って通過した。
ワニを抱えた尾形と、浮き輪を持った宇佐美君であった。
2人で海に飛び込んでいた。
ラブラブかよ。
いや尾形お前さっき何て言ってたよ?!
宇佐美「尾形死ねぇええ!」
さっそく尾形にめちゃくそ海水をかけていた。
浮き輪抱えながらの殺し合いはやめましょう。
土方「何なんだあいつらは」
私「ね」
インカラマッ君が荷物番をしてくれると言って残ってくれた。
海に入ると、水場用だというのに、
オーバーオールが身体に張り付き水で重くなった。
私「えっ…」
私は一瞬で上がり、
テントにオーバーオールを投げ捨てた。
私「重いわ!」
これでは泳げないではないか!
念のために持ってきた短パンを、
パンツ上から履くことにした。
土方さんがぽかーんと見ている。
私は尾形にワニを返してもらうと、
念願だったワニに乗るというのを試みる。
私「わーい!」
落ちる。
滑る。
沈。
私「うっ(´;ω;`)」
土方「押さえといてやるから乗るがよい(~_~;)」
私「やったー!」
土方さんにワニを少し沈めて持ってもらい、
やっと乗ることができた私。
弟もやってきて、2人でワニを引っ張ってくれた。
浮いてるだけなのに楽しい!
尾形が悪い顔で近づいてきたので、
バタ足水防御をしておいた。
私「ちょ!ちょまって!そんな深くまで行ったら足つかん!」
夏太郎「俺は届いてるけど」
土方「うむ」
私「あたしは届かないの!」
夏太郎「姉貴遠泳したことあるから大丈夫だろ」
私「そういう問題ではない!」
夏太郎「ところで俺、この位置から変わってないんだけど、宇佐美君達流されてないか?」
私「えっ」
少し遠くに、浮き輪に乗った尾形と、
それに掴まっている宇佐美君がいた。
いやだからラブラブかよ。
【つづく】
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