第17章 猫被り疑惑系女子:桜井
「一目惚れで……それに優しくて可愛くて……。えっと……」
さんは唇を噛んで、何かを堪えるようにしていた。
ついには涙声になって、とうとう嗚咽を漏らした。
「私だって……桜井君が好きだから、桜井君だけ応援したりお菓子あげたり、桜井君……」
耐えられなくなって、さんを抱きしめた。
「桜井君には嫌われたくなかったの……。でも私と話して嫌な思いしたらって……!」
「ボクは……こんなにも好きな人と話せなくなる方が辛いです……」
暫くそのままの状態が続いたけど……体を離したさんが、ボクの目を見つめてきた。
「桜井君……好きです」
「ボクの方が好きだもん」
「ふふっ、もう……」
夕日に照らされてるさんは、とても綺麗だった。
そっと、手を繋いだ。
「帰りましょう、お家まで送ります」
「ありがとう」
この手を離さないようにしよう。
ずっと寄り添うんだ。
もう辛い思いはさせないから……。
~End~