第15章 舞台系女子:森山
「もう……外でやるなんて信じられない!」
そんなこと言われても、ちゃんが可愛くてどうしようもなかったんだ。
まったく罪な子だな~。
「キスを抑えるので精一杯だったんだぞ?」
「そんなドヤッて言わないでよ……もう行こう?」
「あぁ、早く運命のお姫様と二人きりになりたい」
「私も早く運命の王子様と二人きりになりたいのですわ!」
手と手を取り合って…そう、今は昼間なんかじゃなく三日月が浮かぶ真夜中(という設定)
オレたちはこんなに想い合っているのに決して結ばれることはない(という設定)
「お母さーん、あの人たち何やってるの?」
「見ちゃいけません!」
「ワン! ワンワン!」
「こらクリ、あの人たちに吠えないの!」
……ちょーっと気まずいぞ。
ちゃんの様子が明らかにおかしい。
羞恥を隠しきれないみたいだ。
頭から湯気が見える……。
「……カラオケ、行くか」
「……うん」
この日以降、ちゃんが嫌がったのでしばらく外でのデートはなくなった。
~End~