第36章 怖がり系女子:日向
「も、もうダメ」
「入口のドア閉めたばっかだろ」
勝った。じゃんけんは得意だからな。
しっかし序盤の序盤で怖がるとか。
そんなに苦手だったのかよ。
さぁて、ここからがお楽しみタイムだぞオレ。
「やだやだもう行きたくない」
「大丈夫だって、ほら」
手を出したらすぐに掴んできた。
おぉ……いつもは恥ずかしがって躊躇すんのに。
容赦ねぇな。
中は真っ暗で、どこに何があんのかさっぱりわからん。
ガタガタブルブルと変な音や感触がする。
オレの携帯かよ!
マナーモードにしてたわそういや!
……多分こっち進むよな。
ダダン ! !
「いやぁ! なに!」
「おぉ ! ? なんだ、足音?」
いやそれより腰にの腕が巻きつけられてるのがやべぇって。
すげードキドキしてきたんですけど!
それ以来、仕掛けが来る度に「きゃー!」と言って抱きつく、っていう……。
天国すぎんだろここ!
お化け屋敷は楽園だ。