第29章 スルー系女子:伊月
海藻を買いそう、キタコレ!
……と、オレとしてはいい感じのダジャレも、彼女にとっては。
「俊ごめん、時計貸して?」
「いいよ。あ、時計なんてほっとけぃ、キタコレ!」
「ありがと、今何時だろ」
面白くもウザくとも何ともないのか。
スルーしてくる。
なぜだろう。
「今のは、時計とほっとけぃをかけてるんだ」
「可愛いね! 返すね、ありがと」
なにが可愛いんだろう。
よくわからないな。
もう少しダジャレにつっこんでくれたら……。
途端、の動きが止まり。
「あれ、今何時だっけ」
「さっき時計見たよな ! ? 」
「見たけど忘れちゃった」
苦笑しているに、オレも苦笑しながらもう一度時計を貸した。
ハッ! 苦笑しちゃった、ちくしょう!
キタコレ!
なぁ、このダジャレはどうだ?
「そうだね、美味しそう」
「噛み合ってないぞ」
スルーの対応が毎度、不思議過ぎる……。
ハッ! スルーする、キタコレ!
今日は調子がいい!