第1章 中学最後の年に
まだ少し寒さが残る、4月の早朝。
中学受験して受かった学校は、私の家からかなり距離がある。
毎朝の起床時間は午前5時。
着慣れた制服に着替え、母の作った朝食を胃に流し込む。
此処までの所要時間、約40分。
それから洗面所へ行って、眠気を吹き飛ばす為に冷たい水で顔を洗う。
掛けてあるタオルをぶん取って顔の余計な水分を吸い取らせると、今度は歯磨きへ移る。
短時間で隅々まで磨くテクニックは、これまでの2年間でしっかり習得してあるので、何ら問題なく終わる。
元々寝癖はあまりつかない為、寝癖直しをほんの少し振りかけて、櫛で髪を整え、最後にドライヤーで乾かせば、私が朝行わなくてはならないことは全て終了。
ふと、鏡を見る。
最初はかたくて着辛かったこの制服も、2年とちょっとの間に、私の身体にフィットするようになった。
思えば、わざわざ家から遠い私立を選んだのは、この制服があったからだった。
この学校の制服は可愛い。
純粋にそこに惹かれたからだった気がする。
随分馬鹿で陳腐な理由だと思う。
何故なら、この学校を選んだ所為で、年齢=彼氏いない歴になってしまったのだから。
部活には入っているが、家が遠いのであまり遅くまで居られない上に、休み時間は寝て居るからクラスの男子と話すこともない。
そんなこんなで、今日から3年。
今年の目標は、彼氏を作ること!