第1章 鬼灯の冷徹 / アイスクリーム
二度ある事は三度ある。
その諺を見事に体現した閻魔大王の第一補佐官である鬼灯こと、加々知は沖縄に居た。彼がこよなく愛する現世番組「世界 de FUSHIGI発見」から、見事に視聴者プレゼントを手に入れたのが事の発端である。単に応募する人が少ないのか、はたまた彼が強運の持ち主なのかは定かでないが、これで三度目となる旅行券を手にし、「沖縄本島一週間の旅」を満喫していた。
溜まっていた有給を遠慮なく使い、この独特な文化を持つ南の島に到着したのが今から二日前。仕事の心配は胸中から取っ払い、人間に扮してまで来たのだ。楽しまない訳にはいかない。それに折角なので「いつもと違う沖縄」を体験しようと、わざわざ周りの反対を押しのけて来た加々知であった。
沖縄のイメージと言えば広い空に青い海、夏の力強い日差しを浴びながらの海水浴、地元の定食屋でゴーヤーチャンプルーなどを食べて元気になる……と言う感じだろうか。他にも色々あるだろうが、とにかく晴天の空の元、アクティブな楽しみ方を想像する人は多いだろう。事実、加々知もそのイメージを強く持ち、それらを期待しながらこの二日間を過ごした。