第1章 鬼灯の冷徹 / アイスクリーム
明日も食べよう。そんな気すらさせてくれる甘味は、一味違う甘い夏を楽しませてくれる。残りの沖縄旅行もこれくらい充実すれば良いのだが……。そんな理想を抱けば、ある案が加々知の脳裏に浮かぶ。
「所で球代さん、明日は暇ですか?」
「え? あっ、はい……まあ。帰ったお客様の部屋を片付ければ暇ですよ? 台風の影響で四日後までの予約がキャンセルされましたので」
「では、折り入って頼みがあるのですが」
「何でしょうか?」
「私も部屋の清掃を手伝いますので、暇になったら私と一緒に『NEO公園』へ来てくれませんか? 他にも、地元でしか楽しめない場所を案内してくださると、助かります」
「……はいっ!」
気付けば自然と彼女を誘っていた。どうせ長い間、ペンションは空いたままだろう。暇を潰すなら一人で黙々と観光しているより、地元を知り尽くした人と会話を交えた方が楽しいはずだ。快く誘いを受けた彼女も、これまた嬉しそうに加々知の持つ「NEO公園」のチラシを覗き込む。共に計画を立て始めれば、それが「 」の始まりを合図した。
一味違う、甘い夏 了