第2章 夏の日差し 赤葦 京治
蒸し蒸しする夏は嫌いだ。
「あっかあしーーーー!」
「どうしました、木兎さん。」
「トスくれ!トス!!」
「はぁ…制服着たままあまり汗かきたくないんですけど…」
すると、木兎さんは少しいじけたように口を尖らせる。
子供ですか。
「むーけちっ」
「放課後沢山あげますよ。」
俺がため息混じりに言うと
「言ったらからな!絶対だぞ!!」
そういって機嫌を直して、この場を立ち去って行った。
「まったく…」
「大変そうだね。」
後ろから声がして振り返ると、灯夜先輩が居た。
「いえ、慣れました。」
「そっか。それにしても暑いね。アイス食べたくなっちゃう。」
中庭の木の陰は日が当たるところよりは断然涼しい。けれど、彼女の横顔を見たら、顔が火照ってさらに暑く感じる。
木の葉の間から漏れる夏の日差しが、ちらちらと顔に当たる。
風が吹くと、彼女の髪が揺れる。
綺麗な彼女の横顔は本当に素敵だと思った。
「帰りに買いに行きますか?」
「そうだね。」
「奢ります。」
「本当!?」
彼女はにこっと笑って「やったー」と喜んでいる。
本当に、リアクションがいちいち可愛い。