第1章 リアルもゲーム(?) 孤爪 研磨
「大好き。」
言ってしまった。
彼女は大きく目を開いて段々顔を赤く染めていく。
かわいい…
って彼女を見ながら思うけど、おれも顔が赤いのがわかる。
頬が熱い。
「え、本当に…?嘘じゃない?」
「なんで嘘つかなくちゃいけないの…。」
恥ずかしい。
顔が熱い。
握る氷がだんだん溶けて行くのが分かる。
「たしも…。」
「え…」
「私も、孤爪君の事好きだよ…っ!友達とかそんなんじゃなくって、その…」
同じ気持ち…。
椿の本当の気持ち…。
「椿。」
おれは彼女をぎゅっと抱きしめる。
ボールが当たった痛みなんか直ぐに吹っ飛んだ。忘れてた。
目の前に幸せがあることを実感した。
リアルはゲームと一緒なんかじゃない。ゲームなんて簡単なつくりとは全然違う。
現実の幸せ。