第17章 別れを告げる前に
お前はたくさんの人に愛されてるんだよ。
お前の口癖は、
「咲良ちゃんが妹とか、ずるい。」
だったよな。
でも、好きな人が妹だったら、
恋をすること、好きになることも許されない存在だったら、辛いと思わないのか?
だから、親友のお前でもそのことが許せなかった。
本気で妹が好きだった。
だから、俺は妹の幸せを考えたんだ。
誰かを好きになって、愛し合って、
幸せになってほしい。
それが俺にできる唯一のことなんだって。
でも、違ったみたいだな。
俺は誰にも愛されていない。
仕事が命の父には、俺なんて、邪魔な存在。
妹にも、偽りの恋。
そして、友として愛してくれたお前はいない。
山本…。俺はお前のところに行くよ。
これは俺にくだされた、
最初で最後の罰だ。