第10章 最期のトキ
ゆきside
みっちゃん:「例の彼、どう?」
ゆき:「…うん…辛いハズなのに、私の前では、笑ってるの…」
みっちゃん:「…そっか…」
潤くんの余命の1週間まで、
あと、3日。
彼に、何が出来るんだろ?
ゆき:「…少しは、頼ってほしい。弱み見せてほしい。」
みっちゃん:「…それ、彼に直接言いなよ。」
ゆき:「…そうだよね。」
みっちゃん:「…頑張ってね。」
ゆき:「…ありがとう。みっちゃん…」
学校が終わり、病院へ向かう。
?:「…あ!ゆきちゃん!」
雅紀くん?
雅:「ハァハァ…潤がッ…潤がッ…」
ゆき:「…ちょ!大丈夫?落ち着いて話して…」
雅:「…潤が急変した…智先生は、もう時間の問題だろうって…」
ゆき:「…そんなッ…やぁッ…」
雅:「…行こう?…潤のところ…」
ゆき:「…うん。」
集中治療室。
窓越しから、眠っている彼を覗く。
智:「…あ、雅紀くん、ゆきちゃん…」
ゆき:「…もう、潤とは、話せませんか…」
智:「それは、何とも言えない…意識が戻っても、言葉を話せるかどうか…」
雅:「…なんで、潤ばっかり苦しむんだよッ…」
ゆき:「…潤ッ…」
智:「…潤は、きっと、幸せだったよ。…親友がいて、大切だって思える存在が出来て。」
雅:「…潤はさ、ほんとに、優しかった…ッ…自分のことより、他の人、優先して…ッ…自分のときは、我慢して、弱いところなんて、ほとんど、見せないし…」
ゆき:「…潤のこと、もっと、知りたいのにッ…こんなに、すぐ、別れなきゃいけないんなんて…」
しかも、永遠の別れ…
雅:「…僕が、潤のことたくさん教えてあげるよ。」
そう言って、ニコッリ笑った。
でも、その笑顔は、
スゴく悲しく見えた。