第57章 The calm before the storm.
私はふっ、と息を漏らして笑い、エンドラインの更に後方へ歩んでいった
ボールをつく音だけが体育館に響いている気がする
梟谷の息遣いと、烏野の緊張がピリピリと伝わってくる
向こうのコートへ視線を投げる
コートの端
選手の位置
出方、攻撃パターン、個性、特徴、得意、不得意それら全て、ベンチで見て掴んだ
うまく成功しますように、と心の中で願いながらサーブトス
そして勢い良く私は床を蹴った
葵
「ふっ!!」
バシィィィイン!!!
今まで打ってきた中で一番音が出た
そして、ボールが向かう場所は………
木兎さん
「っしゃこい!!!」
烏野コート側から見て後ろの右端にいる木兎さんの元へ
アンダーハンドパス―レシーブの体制を取る木兎さん
葵
(いけ!!!)
木兎さん
(アウト……か?
え、いやイン??)
赤葦さん
「木兎さん!!」
ダンッ!!
近くの人がインであることを告げた
葵
「よしっ!!」