第57章 The calm before the storm.
澤村side
護りに入って強豪と渡り合えるだけの地力は俺達にはまだ無い
葵にはあるけど、あいつ抜きの俺達にはまだ
――――――
葵
「強さの秘訣………ですか」
大地
「そうだ
俺はお前の強さの根源が知りたい」
ある日俺は葵に葵自身の強さの元を聞いた
葵は顎に手をあて、うーんと唸り目を凝らすこと数分
葵
「すみません………、私にはちょっと……」
大地
「そうか、ありがとう」
そして、数日後
「澤村〜、後輩君が来てるよ」
道宮のよく通る声が教室に響く
ドアの側では控えめながらも顔をちらりちらりと覗かせる葵の姿
大地
「ありがとう」
道宮にお礼を言って教室を出ると葵はまた少し眉を下げて申し訳無さそうな顔をした
葵
「休憩中おしかけてしまってすみません……」
大地
「いやいいよ
どした?」
葵
「あの、この前僕の強さの秘訣、聞いてくれましたよね」
久しぶりに葵が「僕」と言っているのを聞いた気がしてほんの少し違和感を覚える
いや、部活中たいてい一人称は「僕」を使っているが……
大地
「おう」
葵
「あの後親に聞いてみたんです
僕って昔からしぶとかったらしいんですよね」
たははと笑ってみせる葵
何だかさっきから視線を感じる気がする
葵続けて自分の過去の話をしてくれた
牛島と戦って以来ずっとバレーにしがみついていたこと
周りに無理と言われたことを出来るまでしようとしたこと
負けたくなかった
ただひたすら夢中になっていた
と――――
ヘタクソだろうが
新しい武器を磨くのみ!!