第5章 2日目
周りのテンションに付いていけないのか、右近はポカンとしている。
鉄華が気をきかせて
「この学校の授業は術、体育、修行、知識学、家庭科、音楽があるの。音楽は個別指導しかないんだけどね。それで、この中で一番辛いのが今からやる修行!二時間ぶっ続けだと立てなくなるらしいよ……」
と半ば脅し混じりの説明をした。
案の定、右近の尻尾の数は三本になり、声が出せず口をパクパクさせている。
ちなみに、修行を二時間ぶっ続けでやって立てたのは、学年で3人だけだとか……
「まあ、今年初めての授業じゃけえ肩慣らしに人間に化けてみよか」
先生の言葉を合図に、一斉に人間に化けた。
ボフンッという音の直後に白い煙が立ち込め、それが晴れると先生は感心したように頷く。
「おぉ、とりあえず化けれたな。タマは尻尾出とるが」
「うそぉ。あ、本当だ」
尻尾を引っ込める。
すると、先生が呆れたように
「…で、右近は何やっとんじゃ」
そう言った。
全員の視線が右近に向けられる。
そこには、一匹の狐がいた。