第3章 1日目
突然、太鼓のような音が聞こえた。
そして、だんだん心が静まっていった。
「とりあえず三匹は深呼吸でもしとけ。……ったく、九尾くらいで大袈裟なんや……ブツブツ」
『ぐらい』ではないのだが。
『ぐらい』だったらこんなにパニクっていない。
あたしらの反応を全く気にすることなく(多分馴れているのだろう)右近は先生に質問する。
「あの、じろ吉先生、今何やったんですか?」
「おぉ!ワイを名前で呼んでくれたんはお前が初めてじゃ!ホンマありがとな~。まったく、あの三匹はワイを先生とも思わんで……グチグチ」
こうなると長いので、先生がぐちぐち言っている間に三匹で説明してあげた。
「今のはねぇ~、『腹づつみ』って術だよ~」(タ)
「私たちが(滅多に無いけど)慌てたりテンパったりして、話が聞ける状態じゃなくなると、この術を使って心を落ち着かせてくれるの」(鉄)
「ちなみに、この術は狸妖怪にしか使えない特別な技なんだよ」(か)
「へぇ、そうなんですか。ありがとうございます。えっと……」(右)
「ん~?あたしはタマだよ♪あたし敬語嫌いだからやめてくんない~?」
「それ、いきなり言うべきこと?あ、うちはかぐや。よろしくね」
「私は鉄華。よろしく」