【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第30章 *幸せな悩み【氷室辰也】*
氷室辰也には悩みがあった。
とても小さくて大きい……幸せな悩みが。
けど誰かに打ち明けた事はない。
ずっと自分の中に秘めている。
「」
「ひゃぁ!や、やめて下さいっ!」
どんな悩みかというと……
一つ目は彼女であるの事が好き過ぎるという事。
二つ目はその彼女が自分から逃げて行く事。
今も後ろから抱きしめたらスルリと逃げられてしまった。
はただ恥ずかしいだけであって、決して氷室の事を嫌っているわけではない。
氷室もそれはしっかりと理解しているのだが……
彼としてはもっと側に近寄りたいのだ。
「折角の家に来たのに」
「困りますっ!」
「恥ずかしいから?」
「はいっ!」
叫ぶように声を出すの頬は見事な赤い色。
自分を拒否されて参っていた氷室も、これを見れば自然と笑みが零れる。
だが彼女からすればそれは殺人的な微笑み。
もう既にの心臓はバクバクだった。