第3章 元彼を諦めるには
「────っ、泣いてなんか……ないもん……!」
私は声がひっくり返らないよう、両手を強く握った。
視界が暗いなか、私ののどの奥に隠した、自分にしか聞こえない嗚咽が私の心を重くする。
「幹也、あのね、私……透のこと、最低だと思ってる……っ、
でもっ、本当は、最初は幹也も、私のこと体しか見てくれていないやつだって…、思ってて……、
でもっ、今は、幹也に、寂しいとこ埋めて…もらえば、良いって、思ってるっ………
私が……幹也を拒まないのは………そうやって甘えてきたから……、寂しさ、紛らわしてきたから……。
だから、ね、私…本当は、幹也よりも、透よりも、最低なことしてる……っ」
「……………。」
「ごめんなさ────」
続きは言えなかった。
幹也に、今度は、触れるだけじゃなくしっかりと、唇を塞がれたから。