歌姫のguardian another story
第1章 本編
今日もシンドリアは暖かく、絶好の仕事日和だ。
最近はいつも五月蝿いヤムライハやシャルルカン、それにマスルールはそれぞれアラジン達の修行の稽古をしているので、私の部屋に邪魔しに来ることがない。
そのためピスティも特に問題を起こさず、真面目に仕事をしている。
しかし王の脱走問題だけはなかなか直らない。どうしたものか・・・
とまあ、そういうわけで最近は割と楽な環境で仕事をすることができている。
「・・・なのに何故、仕事が終わらないのだろう?」
思わず口に出してしまうほど、仕事が終わりそうもない。
これは久々に徹夜ですね、と口に出しそうになった時、
扉を叩く音が聞こえて、「失礼致します」という言葉と共に一人の女官が入ってきた。
「お疲れ様です、ジャーファル様。数人の文官が白洋塔にて貴方をお待ちしております。それを言伝にまいりました。それでは、失礼致しました」
彼女は忙しいのか少々早口でそう告げると、お辞儀をして扉の外へ出た。
彼女は金髪を長く伸ばしている、アルテミュラ出身の女官だ。
私は何故だか彼女を見ると、非常に切なくなってくる。まるで、誰かと彼女を重ねているようだ。
そういえば私には、それ以外にも悩ましいことがある。