第35章 平等な優しさ
保健室にて
『先生はいないみたいだね…。征ちゃん熱は?』
赤「38度…」
『やっぱり結構高い… 今日はもう帰って休んだ方が良いよ』
赤「そうさせてもらおうかな…」
『征ちゃん……?』
赤「いや、普段体調管理をきちんとしろと言っている俺がこのザマなのは、情けないなと思ってね…」
(征ちゃんからこんな弱気な発言を聞くのは初めてかもしれない……)
『征ちゃん何言ってるの‼︎ 私もう征ちゃんと1年以上一緒にいるけど、体調崩したの今日だけじゃん‼︎ そっちの方が凄いよ』
赤「………。」
『征ちゃん、いろいろと無理してない? 何か最近よく思い詰めたような顔してるから…』
赤「……そんなことはないよ」
『そう…。 ところで征ちゃん、家族の人は迎えにこられるの?』
赤「家族というより目付役かな」
『さすが赤司家だね;; ……征ちゃんは家族の人と上手くいってるの?』
赤「……父とは良好な関係だと思っているよ」
(…征ちゃん、また嘘ついてる……)
そう思いながら、私の体は自然と征ちゃんを抱きしめていた
赤「………友香?」
(友香から抱きついてくるのは初めてだな……)
『…征ちゃんの嘘は分かるんだから……』
赤「…‼︎ ……そうか」
『私が征ちゃんギューってしたいだけなの。だからもう少しこのままでも良い?』
赤「……かまわないよ」
そう言って征ちゃんは私を抱きしめ返してくれた
赤(友香の腕の中は落ち着くな…)
『征ちゃんの居場所は私でしょ…?』
赤「あぁ」
『征ちゃんは1人じゃないよ? 私がいる』
赤「………ありがとう」
(俺がこんなにも他人を愛しいと思うのは初めてだ……)
赤「友香は優しいな。…俺にもアイツらにも……」
『そうかな?』
赤「そうだよ……」
(……その優しさは僕にだけで充分だ)
赤司と抱き合っているため、友香は一瞬赤司の瞳の色が変わっていることには気付かなかった
そして赤司家の使用人が迎えに到着し、征ちゃんは帰っていった
(私が想像できないくらいのプレッシャーを親にかけられてるんだろうな…… 前、征ちゃんが私と似てるって言ったのはこのことだ。たぶん征ちゃんも家に居場所が無いんじゃないのかな……)
私は征ちゃんを見送りながらこんなことを思っていた