第2章 zero
私が7歳の時、事件は起きた。
「ママッやだやだ‼︎‼︎胡蝶も一緒に戦う‼︎」
「いい?胡蝶。よく聞くのよ、このままではママもパパも胡蝶も死んじゃう。それなら、まだまだ未来のあるあなたに、生きてもらいたいの。だから最後のお願い。ママとパパの分まで生きて ‼︎ 胡蝶...さぁ行くのよ。」
「やだ‼︎そんなお願いきかない‼︎胡蝶も一緒に「行きなさいッッ‼︎‼︎」
その声を聞くと同時に、私は母に背を向けひたすら走った。初めて聞く、母の怒鳴り声だった。
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普通の家族だった。
喰種ということを除いては。
私の母は、人間に生まれたかったらしい。
喰種と違って色んなものを食べたり、何にも怯えず幸せな日々を過ごしている事が羨ましくて。
だから父もそれに協力して、なるべく人間のように暮らせるようにしてきた。
私達、喰種にとったらまずい人間の料理もわざわざ母が作った。でも、人間の肉は食べないと死んでしまうから少し人間の肉を混ぜて食べたり、普通に家族で出かけたり。
ほとんど人間としか思えないような暮らしを協力しながらしてきた。
でも、やはり食事は1番きつかった。
美味しそうには見える。人間の肉も混じってるけど、ほとんど人間の食べるもの。
けど、口の中にいれた時には酷い味しかしない。それに慣れるのは中々難しくて、私は何度も吐いたことがある。
それでも、父と母はめげずに人間の料理を作って、少し人間の肉も混ぜては食べた。