第4章 two
そして、あの事件から10年後。
私は喰種としての生き方を学び、喰種としての強さも身につけた。
この日のターゲットは20代らへんのチャラそうな男。
「ねぇ、お兄さん。私と一緒に遊ぼ⁇」
いわゆる逆ナンってやつで人間を誘惑する。
自分で言うのも何だけど、容姿はそれなりにいけてるつもりだ。
「おっ、君かわいいから全然いいよー‼︎俺さ、積極的な女の子好きだから‼︎」
「ありがとー。」
それからはいつもの順序で、名前をお互い言い(もちろん私は偽名)ラブホに行くと見せかけて、狭くて暗いひと気のない路地まで連れて行く。
「ねぇねぇお兄さん。ラブホじゃなくて、ここでヤりたいなぁ。」
そう言って男に抱きつく。香水の匂いが臭くて、顔を顰める。
「本当に積極的だね〜」
「はやく...」
少しとろんとした目をし、男を誘惑する。男もそれに乗り、私にキスをする。
「ん...。」
少しキスを堪能したら、私から唇を離す。そしてベロをべっと出す。
「お兄さん、なかなかキスうまかったよ。けど、もうおしまーい。」
男がきょとんとした顔をする。
...阿呆面。きもい。
「私そろそろお腹減ったの。だから、食べさせて?」
唇を耳に近づけてそっと囁くと、男の体が震え出す。
「...は?」
「...今更気づいたの?」
「おっ..お前まさ..まさかっ..ぐーるッ..⁉︎」
パッと男から離れ、張り付いた笑顔を消すと赫眼にする。
「こんな遅く気づいたの、あんたが初めてだよ。怪しいと思わなかったの?」
誘惑し、多少期待させてから突き落とす。これが私のやり方。
私も性格悪くなったかな⁇
「やっ..やめてくれ‼︎お願いだ‼︎死にたくないッッ‼︎」
男の話も聞かず、私は手を合わせた。
「いっただっきまーす。」
ガブッと首元にかじりつくと、男は悲鳴をあげた。
「うあ"あ"ぁ"あ"あ"⁉︎⁉︎」
うん。思ってたより美味しい。
けどうるさいな。
単純にそう思ったから
私は羽赫を出し、男の心臓に刺した。