第7章 Secret Circus
「セバスチャン殿もセバスチャン殿です!!それでもシエル様の執事ですか?!」
そうそれはアグニさんの声だった。
「…え?」
「同じカーンサマーとして…いえ、友人として言わせて頂きます!ご主人様のお体こそ第一!今回はたとえ命令違反だとしても、シエル様の体調を想い辛くともお止めするべきだと思いませんか!ご主人様にいつも朗らかで健やかでいて頂く。そのために命をかける、それが…!執事の美学というものではないのですか?!」
セバスチャンに向けられたその言葉は私の心にまで響いた。
そう、坊っちゃんの命令を優先し守ることが全てだと思っていた。だけど、そうだ。坊っちゃんが体調を崩したら、それこそ本末転倒と、言うもの。
「主人の望みを叶えるのが私共の役目だと思っているのですが…。確かに、その様な考えも一理あるかもしれません」
セバスチャンも認めたとなるとその後の行動など早いもので。
ソーマ様が次々に指示を飛ばしていく。
「アグニ!粥と薬湯だ!」
「かしこまりました」
「シエルのカーンサマーは寝間着を出せ!あと氷枕もだ!」
「「はい」」
私達はソーマ様の指示のもと準備に走った。
「よし、これで一安心だな!」
「はいっ」
隣では本当に安心したような顔をしたソーマ様とアグニさんが立ち、目の前ではふてくされたような顔でベッドに座る坊っちゃんが。
「僕は忙しいと言ってるのに…」
セバスチャンが布団の中に坊っちゃんを誘導し眠りを促した。
「嗚呼、熱がこんなに…。全ては明日に致しましょう」
坊っちゃんが眠りについたのを確認し、私はセバスチャンに小声で話しかけた。
「…セバスチャン、あとで報告を…」