第5章 幸せって?
セリシアSIDE
「・・・は?」
今、帰るかって言った?
疑問形、だよね?
「だから、キユノ王国に帰るかどうするか、だよ。」
「帰るって・・・。」
何度もデアルの言葉をリピートする。
シンドリア王国を離れてキユノ王国に帰るか?
それはつまり・・・。
「シンドリアを離れて・・・。副政務官もやめて、故郷に帰るかってことだよ。」
それじゃあ、ヤム姉ともピス姉とも師匠ともシンドバッドさんとも、何よりジャーファルとも会えなくなるってこと・・・だよね?
キユノ王国は北国だし、シンドリアからじゃ何日もかかる。
簡単に会える距離じゃない。
「…俺はキユノ王国に帰る。今までのようにはいかないにせよ、これでも王族だったし、後継者でもあるから・・・。」
長男だから、デアルはキユノ王国の後継者でもあった。
デアルはもうすでに覚悟を決めてるみたいだ。
「・・・考えろ。あと5日はある。ウィリランデの一行が帰るまでには決めてくれないかな。」
私は無言でうなづくしかなかった。