第3章 王子来賓
セリシアSIDE
誰だろう・・・。
こんな時間にここにいるなんて、思ってもみなかった。
でもま、相手も多分同じなんだろうなぁ・・・。
「・・・。」
無言で姿を見つめる。
外を見てるから顔は見えない。
服装は政務服じゃないし、気配だって知らない。
・・・あ、わかった。
ぴんときた。
あの人、ウィリランデの弟王子だ。
豪華すぎるわけでもなく、でも平凡よりは豪華目な感じ。
「・・・こんばんは。」
気づかれた。
というより、見つかったっていう方が正しいかな。
だって、相手はこっちを振り返ってから気づいたんだもん。
「こんばんは。」
挨拶だけして、その場を足早に去る。
正直、見つかって焦っていた。
気配も消してたし、音もたててなかったから。
だからホント、あいさつもそこそこに走り帰ってしまった。
無礼だったかな、と後になって思う。
でもすでに遅い。
幸い一瞬だったし、私も夜の光の下にいたわけじゃないから、顔はよく見られてないはずだ。
どっちにしても、この先会うことはないはず。
・・・それでも、何か言われたらちゃんと謝ろう・・・。