第24章 決めた答え
ジャーファルside
…きっと、今日で終わる。
今まで幸せでいられた時間が、終わる。
つい先ほど、セリシアに呼ばれた。
突然という訳ではなかった。
呼ばれる事に驚くことはなかった。
「…もうすぐ、新月か。」
セリシアと待ち合わせをするのはいつもの場所。
そこに行く途中、そんなことを思ってしまう。
星と共に夜を照らす月の光が、今日は弱い。
普段月なんて気にしていないから、気がついたら満月は過ぎているし、新月になりかけている。
2日後には、新月だろう。
「…あっ、ジャーファル。」
先に声をかけたのはセリシア。
…いつ見ても、変わらない。
いつだって、金色の髪が夜に映え、なびく。
普段可愛いのに、どうしてかこういう時は綺麗なんだ。
「お待たせ致しました。」
…きっと、キユノ王国に帰るかどうかの返事だろう。
たしか2日後にキユノの一団が帰ると聞いている。
…ああ、新月の日だ。
「…まどろっこしい話は無しにしましょうか。」
「…そうだね。わかるよね、本題くらい。」
「これで他の話題振られても反応出来ませんよ。」
「そりゃそうだ。」
微笑みは、2人して浮かべてる。
でも、どちらも心から笑ってるわけじゃない。
そのあとの重たい話題が、言い辛いのだ。
だから、少しでも逃げたいのだ。