第19章 姫と刀使いの戦い
セリシアside
「…姫様、カルも起きましたので先ほどの戦いのことで聞いてもいいでしょうか?」
「え?ええ、どうぞ。」
まさか戦いについて聞かれるとは思わなかった。
「姫様、先にお聞かせください。…俺との勝負、どうでしたか。」
真剣な顔つきでカルさんは言う。
地面に座ったままだから、恐らくまだ痛みが残っているのだろう。
「とても、楽しかったです。…あの、思いっきりぶん殴るっていうか…手加減できないくらいには。」
するとホッと息を吐くカルさん。
あー、やっぱ気にされたか。
「ありがとうございます。」
「…姫様は、最初の攻撃では勝ちに行っていませんでしたよね?」
…アイセさん、よく見てるなぁ?
「慣れないその刀の感覚を得ようとしていませんでしたか?」
「…その通りです。普段使わない刀ですから、長さも重さも、風の感じも違いますからね。」
「…私も、騙されましたよ。無駄な動きが多いわりに隙がない。刀の振り方も雑だし不思議には思っていましたよ。」
ん、騙せてたのね?
良かった、なんか勝った気分!
「刀の振り方が雑だったのは慣れるため。…ですが、無駄な動きが多かった理由がわかりません。」
「…最後の動きのためです。本当は、一発で決めるつもりだったのですけど。…思ったよりカルさん素早くて、一本取れませんでした。」