第18章 選択の悩み
セリシアside
木刀を受け取り軽く振ってみると、意外と自分の怪我と重さが変わらなくてちょっと驚く。
…これは、剣より多分刀に近い。
ちょっと不利…か?
「私はよくこれで鍛錬もしますから慣れていますが、手は抜かなくてよろしいですよね?」
手を抜くなんて。
例え不利だとしても、それはダメ。
「もちろんです。」
お互い笑顔になる。
軽い緊張があるけど、それは向こうも同じだろう。
…カルさん、どんな強さなんだろう?
…勝ちたいな、どうせなら。
「アイセ、審判をお願いするわね?」
「かしこまりました。」
そんな簡潔な会話が聞こえる。
そしてすぐにアイセさんが声をだす。
「これは真剣勝負。雑念を抱いたまま勝負することのないように。」
…雑念。
そうだ、今は勝負に集中すればいい。
食客になるかどうかの時もそうだったじゃん?
不安は少なからずあったけど、集中してた。
あの頃よりも強くなれたはず。
「それでは両者位置に着き…」
この勝負は、楽しんでいい勝負だ。
命をかけることのない、安全な勝負。
…それならば楽しんで勝ちに行くだけ。
それが私じゃん。
「始め!!」
アイセさんのかけ声で、勝負は始まりを迎えた。