第17章 キユノ王国一団
セリシアside
「本題に入ります。デアル様は、国王のお勤めを果たすべくキユノ王国を出て、近隣国に行く途中でした。」
セーカさんは、私の目を見て述べていく。
淡々と、冷静に言ってるつもりだろうけど、どこか不安を持っているように見えた。
「船で、少人数ではありますが我ら仕えのものも共に移動していました。…この場にいる私を含めた4人は、その船に乗船していました。」
…そっか。
副政務官に女中兼文官、熟練兵士に新米だが素質のある兵士。
各分野の精鋭であることは間違いないだろう。
「…兄に、何があったのですか。」
四人を見渡した後、視線をセーカさんに戻して問う。
「…移動中、突然の嵐に会いました。」
それを言って、彼女は一度止め、深呼吸を薄くする。
…嵐、ね。
「激しく荒れた海に、我らの乗っていた船は酷く揺れました。物事は一瞬で…後にも先にも一回の雷が鳴り響いたすぐ後、デアル様は…海に…」
セーカさんの目が潤むのがわかった。
とても言いづらそうに、それでも私の為に事実を伝えようと必死に。
「…カルが、そのあとをすぐに追おうとしました。…しかし、嵐に荒れ狂う海に入れば、二次災害として余計な被害を負う。そう…考え行動を止めました。」