第16章 異変…?
セリシアside
キユノ王国から使節団が来るまでの間、何も変わらずに日々が過ぎるなんてことはやっぱりなかった。
あたりまえだろうね。
…けど、想像してない方向に変わったことが一つ。
ジャーファルだ。
「セリシア」
そう呼びかけられて振り向けば。
「!?」
不意打ちなキス。
…どういうわけか、キスされる頻度が上がっていた。
そしてした後は決まってはにかんで笑うから何も言えない。
…深い方はたまに誰もいないところでやってくるけど、さすがにそれは不意打ちじゃないよ。
反応に困るけどさ?
「…ねえ、ジャーファル。」
「嫌でした?」
「いやそうじゃなくて!」
嫌ではない。
うん、別にそれはまあいい。
「どうしたの?最近なんかあった?」
「あったといえば当然キユノ王国のことですけど。」
いやまあそうなんだけどね?
絶賛それに向けて大忙しなんだけどね??
ジャーファルがそれのために寝る間も惜しんで仕事してるのを知ってる。
もちろんジャーファルだけでなくシンドバッドさんも、文官も。
…まあジャーファルとシンドバッドさんに限っては本当に寝てないみたいなんだけど。
「そーじゃなくて…!」
どう言っても無駄な気がする。
ジャーファルには勝てないもん、絶対。
だがしかし。
「とりあえず、何故キスの頻度が上がったのかだけ聞きたいのだけど。…何故?」