第14章 誘拐
ジャーファルSIDE
一番右の小屋に行ってみれば、扉があかないように簡易的に施錠されている。
中からは開けられない仕組みで、外からははっきり言って施錠にもなっていない。
金属ではなくて木での施錠って・・・。
まあ、そう簡単に中から出ることはできないでしょうから意味をなしてはいるのでしょう。
カコン
あっさりと軽い音をたてて外れる。
そのまま扉を開けてみれば、小さく音をたてて開く。
「セリシア?」
中は暗い。
小屋とはいえ、光の漏れが全くないとは。
「・・・ジャーファル・・・。」
声がすぐそばから聞こえすぐにその方向を向く。
・・・ああ、間違えることのない姿。
扉のすぐそばに、壁に寄り掛かってこっちを見つめる姿。
セリシアだ。
「ジャーファルだよね?」
思わず抱きしめれば、耳元からそんな言葉が聞こえる。
それはどこか困惑しているようにも聞こえて。
「他に誰がいますか、セリシア。」
最後にあったのは今日の午前中だというのに、会うのに時間がかかった気がして。
ちょっと前は暴れて部屋を出て行こうとしていた彼女は全くその場から動こうとはしなくて。
とにかくちゃんと会えて、抱きしめられてよかった。
腕の中に彼女がいる。
それで、いいような気がした。