第11章 雪解けの夢
セリシアSIDE
何、これ・・・?
気が付けば私は雪の上に立っていた。
けれど、今までに見たことのある雪とはまるで違う雪。
雪の重さはないし、踏みしめた時の感覚はまるでない。
たとえるなら、コンクリートの上に雪をまぶしたような。
ただ薄い、力のない雪がそこにはあった。
「・・・シロナ?」
一面に広がるのは雪景色・・・ではなく、真っ黒な、自分と雪以外何もない空間。
いつもならちらちらと降っている雪はまるでなく、音も風もなにもなかった。
「ねえ・・・シロナなの?」
何もない空間にそう問う。
でもなんの返事もなかった。
そのかわり、というのか。
雪が解けていく。
「う、うそ・・・?」
みるみるうちに雪はなくなり、ついには自分のまわり、そこだけの雪だった。
まるで力が無くなるように、雪が無くなっていく。
シロナの雪が・・・なくなっていく。
何を示したいの?
何を伝えたいの?
わからなくて、そこにあるのは恐怖だけで。
シロナが消えてしまう・・・そんな気がした。