第62章 現状と見解と想像を絶する状況と
「………要するに、
雷はタイムスリップしたきっかけではなく、
俺たちがタイムスリップした時に、
偶然鳴ったというだけだったのかも知れない。」
エルヴィンの声は衝撃的な発言内容とは裏腹に、
落ち着いていた。
今まで雷とあの部屋の力によって
タイムスリップという現象が起きたと
信じきっていたけど、
その考えを根底から覆すような見解に
驚きを隠しきれず、息を呑む。
「冷静に考えてみると、雷が鳴った衝撃だけで
タイムスリップという
不思議な現象が起きるとは、
どうも考えにくかったんだ。
家に雷が落ちるくらいの衝撃でもなければ
こんな奇跡のようなことは
起きないんじゃないかと思ってね……」