第59章 夜空に咲く、大輪の花
「遅かったじゃねぇか。
また人前で絡み合ってたのか?」
「なんだ。妬いてるのか?」
リヴァイとエルヴィンの会話を聞きながら、
二人の歩くペースに合わせ、少し足早に歩く。
リヴァイの声色が厭味を帯び、
かなり不機嫌そうに聞こえるのは
気のせいではないだろう。
エルヴィンが
「“あの店主”はまた絶望の淵に
立たされることになりそうだ。」
そう言った時、
何で“あの店主”が輪投げの出店に
いることが分かったんだ?
と疑問に思ったが、
視力が頗る良いエルヴィンには、
あの位置からでも店主の顔が
確認出来ていたことに気付いた。
と言うことは、同じく視力の良いリヴァイにも、
私たちの様子は見えていたんだろう。
あの店主は、憂さ晴らしの為に
リヴァイに苛められたのかも知れないな……
リヴァイに対しても店主に対しても、
申し訳ない気持ちを覚えつつ、
そんなことで苛立ちを発散させるリヴァイが、
少し可愛くも思えた。