第59章 夜空に咲く、大輪の花
「“団長”の俺は、きっと君を幻滅させる。
だが……君の前だけでは、
俺は人でいられる気がするんだ。」
“人でいられる気がする”
その言葉がどういう意味を持つのか
この世界にいる私には理解できそうにない。
でも、エルヴィンたちに付いて行けば
きっとその意味は分かる。
そしてその言葉通り、
私は“エルヴィン・スミス”を保つ要員に
なれるのかも知れない。
そう思うと、自分の心が少し高鳴った気がした。
「……凛に決断を託すと
言っておきながら、
こんなことを言ってすまない……」
小さく息を吐いたエルヴィンは、
凛の髪を優しく撫で、
「卑怯な言い分だとは思ったんだが、
言わないままで元の世界に
帰りたくはないと思ってね。」
と、凛に優しい表情を向けた。