第56章 範司と火口
「ちょ、ちょっと
飲み物でも買ってきます!」
突然誰も望んでいない
飲み物の買い出しを申し出る火口君の顔は、
相変わらず赤面したままだ。
「え、火口君、明らかに様子おかしいよね?
やっぱり私何かやらかしたの?」
「いや、君は何もしてないよ。
モブリットの気持ちの問題だろう。」
エルヴィンにそう言って肩を叩かれた直後、
火口君は弦が切れたような勢いで
玄関から出て行った。
「凛、ごめんね。
うちのモブリットは結構ウブなんだよ。」
「………どういう意味?」
範司に声を掛けられ、すぐに問いかける。