第56章 範司と火口
「へぇ。
じゃぁ凛のことは諦めるんだ。」
「「そんなわけないだろ。」」
範司の問いに即答した
エルヴィンとリヴァイの声が上手く重なり合い、
範司は声を上げて笑い始め
火口も笑いそうになるが、
小さく吐息を漏らし、
身体を揺らした凛を見て
範司に人差し指を立てて見せた。
「元の世界へ戻るまで、まだ時間はある。
決断を委ねている限り難しいとは思うが、
凛のことを諦めはしない。」
エルヴィンがハッキリとした口調で
言い切ると、
「取り敢えずは凛が理性を崩してでも
付いて行きたいと思えるように
画策するつもりだ。」
リヴァイはそう言ってフッと息を漏らした。