第56章 範司と火口
「それにしても、
二人のいた世界に凛が行くことを、
エルヴィンが拒絶しなくなったのには
びっくりしたな。」
「……俺自身も驚いてるよ。」
範司の発言に、エルヴィンは小さく笑う。
「お前、結局そう思うようになったのか?」
「凛がずっと側に居てくれたら、
とはずっと思っていたからな。
感情が暴発した結果、理性も吹き飛んだ。」
エルヴィンはリヴァイの問いに答え、
少しため息を吐いた。
「お前の団長としての理性が
崩壊するなんて珍しいな。
肩書を背負ったお前は、
巨人を排除することしか
考えられねぇのかと思ってたよ。」
リヴァイが茶化すように言うと、
「それはこっちのセリフでもあるが。
肩書を背負っているのは、お前も同じだろう。」
エルヴィンはそう言って
リヴァイに視線を向けた。