第55章 今現在の決断

「ただいま。」

それだけ言って、
エルヴィンと範司から距離の取れる
火口君の横に座る。

なんとなく、ここが一番安全な気がした。



「エルヴィン。
お前のその笑顔は久しぶりに見るな。」

リヴァイがそう声を掛けると、
エルヴィンは大きくため息を吐く。


「……そうだな。
笑顔を作るくらいしないと、
やってられないんだよ。」

「そんなに俺たちの朝帰りが堪えたか？」

「朝帰りじゃないでしょ？もう昼前だよ。」


エルヴィン、リヴァイ、範司の会話を
黙って聞きながら、
そっと火口君に視線を向けると、
すぐに目が合った。




「……エルヴィンさん、
相当気に病んでましたよ。」

「………何で？」

小声で声を掛けられ、小声で問いかけると、
火口君は視線だけで周囲の様子を窺う。