第48章 守りたい、
「俺に謝ってどうすんだ?」
リヴァイの声色には狂気が漂っていて、
自分に言われている訳でもないのに、
身震いしそうになる。
「お前が謝る相手は誰だ?
いい年してそんなことも分かんねぇのか?」
リヴァイがそう言った途端、
痴漢とバッチリ目が合い、
深々と頭を下げられながら、
「すみません、すみません」と、連呼された。
無論、「いえ、大丈夫です。許します。」
なんてことを言う気にはなれず
頭を下げ続ける痴漢に、
沈黙を守ったまま目を向ける。
頭は所々白髪が目立つが、
清潔感がない訳ではない。
スーツやカッターシャツは
丁寧にアイロンがかかっているようで
既婚者か?と思い、左手を確認すると、
案の定薬指に指輪をしていた。