第43章 矛盾の追及
「凛。俺は、君が思っているような
人間ではない。」
エルヴィンの強い語感は、空気を滞らせる。
「……どういうこと?」
「元の世界の俺は、一般市民から石を投げられ、
罵声を浴びせられるような、
人を殺してばかりいる男なんだ。」
決して握り返すことをしなくなった
エルヴィンの手を握る力が、自然と強まった。
「だが、どれだけ非情で冷酷な
人殺しだと罵られようと、
自分のしていることが間違いだとは思わない。
目的を達成する為なら仲間の命も、
自分の命も切り捨てる。
その覚悟がなければ、
人類の未来はないと思っている。」