第38章 ひぐちくん
「今回は名前に関係性がなさそうだな。」
いつの間にか隣に立っていたエルヴィンは、
少し残念そうな声を出す。
「モブリットって人の姓は?」
ふとあることを思い立ち、
エルヴィンに問いかけた。
「バーナーだ。」
エルヴィンの返答を聞くなり、
すぐにピンとくる。
なるほど。
関係性がない訳でもなさそうだな……
「ひぐちくんの“ひぐち”って、
漢字で書くと、炭火の火に、出口の口?」
「……!はい!そうです!
よく“樋(とい)”の樋口に
間違われるんですけど……」
私の問いかけに、
火口君は嬉しそうに答える。
きっと今まで散々間違われてきたのだろう。