第37章 恩返しと覚悟の時間
「まぁそれ以前に、
二人の応募の方が早かったから、ね?
凛はゆっくりしてなよ。」
どうも納得いかない理由だけど、
ここで自分が駄々をこねても仕方ない。
「……じゃぁ、明日から一週間、
二人を範司の博物館まで
送ればいいんだね?」
「いや。それも大丈夫。
私の後輩を迎えに行かせるから。」
「えっ、でもさすがに悪いよ。
こんな田舎まで迎えに来てもらうの。」
範司はいつも唐突に面倒事を
他人に押し付ける傾向がある。
しかも本人に全く悪気がないから、
尚更タチが悪い。
「いいの、いいの!
その後輩、ここよりもっと田舎から
通ってるから!
ついでみたいなもん!」
どうも信憑性に欠けるが、
ここは私が拒否する立場ではないだろう。