第5章 知りたい世界
「そうか。それなら今は
ゆっくり過ごしているんだな。」
エルヴィンは私が今無職でいることを
特に気にする様子もない口ぶりで言った。
「……でも、いい年した女が、
仕事もせずにフラフラしてるのは
良くないよね……」
「何でそう思うんだ?」
予想外の問いかけをされ、返答に困り口を噤む。
「俺はそう思わないけどな。」
エルヴィンの穏やかな声が、
耳の奥に入り込んで頭の中で反響する。
「俺は骨を埋める覚悟で
調査兵団に入団し、団長職に就いた。
だから、この命が尽きるまで
戦い続けるつもりだ。」
エルヴィンの強い語調が、
部屋の空気を震わせた。