第36章 溢れるほどの想いがこぼれてしまう前に
「君が彼の話を聞けるような状態になれば、
の話だが。」
「……そんな状態になれる日なんて
来ないと思う。」
再び落ち込んだような、悲しそうな表情になり
抱きしめたい衝動に駆られる。
「……そうか。
だが彼は君と別れてから、
酒をやめたらしいよ。」
なんとか衝動を抑えつつ、そう声を掛けると
驚嘆の表情が目に留まり、
堪えきれず吹き出した。
「え、嘘だ!やめられる筈ないよ!」
「……なんだ、
そんなに御食は酒好きだったのか?」
肩の震えを抑えながら問いかけるが
反応がいちいち良すぎて、
込み上げてくる笑いを抑えきれそうにない。