第35章 恋人候補の説教
リヴァイが言っていた、
“凛を連れて行く方法”を試せば
もしかしたら本当に、
一緒にタイムスリップすることは
可能かもしれない。
その方法は、自分にも心当たりがある。
だが、それを試す気にはなれない。
彼女には、壁の内側のような閉鎖された空間で
生きて欲しくなかった。
リヴァイの言う通り、
自分たちが元の世界へ戻れば
彼女はまた、生きることを止めたくなる瞬間が
来るかもしれない。
それでも、あの閉ざされた上に
日々巨人の脅威に怯える世界で
彼女が生活することを考えると、
懸念が胸にこたえる。
何より、“あの世界の自分”が
凛を幸せにすることはできない。
これは予想ではない。
確信だ。
色々な思いを馳せながら身体を拭き終わり、
下着を手に取った、その時。
「凛と一緒にいた男……だよな?」
突然背後から声を掛けられ、
ゆっくり後ろを振り返った。