第29章 ●“ナニする”気
エルヴィンとリヴァイが
水中で目を開けると痛い、という
かなり子ども染みた
無邪気な遊びをしている最中、
身体を仰向けにして、水面に浮かぶ。
焼けつくような日差しを浴びながらも、
背中には心地いい水の冷たさを感じ、
温冷の狭間で穏やかな気分になる。
耳がすっぽり水に浸かっているので、
周囲の騒がしさも
あまり気にならない。
どこか美味しそうにも見える
入道雲を見入った後に目を閉じたら、
そのまま空に吸い込まれそうな気がした。
「……凛。」
しばらく水面に浮かんでいると、
くぐもった声が聞こえ、
目を開けて声の先に視線を向ける。