第26章 変わらない目的
「……何か悩みを抱えておるんだとは
思っておった。
ずっと都会育ちだったあの子が、
いきなり田舎に引っ越してきたいと
言い出したんだからのう。
……だが、そこまで思い詰めているとは
思わなんだ。」
好古は顎髭を指で弄びながら、少し目を伏せた。
エルヴィンは口元に手を当て、
好古の話を聞きながら目を瞑り
考え込んでいたが、
ゆっくり目を開けると、
「……私たちは、凛の生きる力を
取り戻すために、ここに来た。
と、いうことですね。」
そう言って好古に視線を向ける。
「ほう。察しがいいな。その通りだ。」
エルヴィンの発言を聞き、
好古は感心したような声を上げた。