第16章 命の宝庫へ
「その続きを言われたら、
君を自分のいた世界へ連れて行きたくなる。」
少し困ったような顔で笑うエルヴィンを見て、
胸の奥で、ドクン、と脈を打つ音がした
そんな気がした。
「まだ元の世界へ戻れる手立てが
見つかっていないのに、
こんなことを言うのも変な話だがな。」
「……そうだね。
まずは二人が戻れる方法を探さないと。」
自分の鼓動が嫌に速い。
エルヴィンから視線を逸らし、
そっと手を離した。
それなのに、
「凛。今日は“恋人”だ。
手は繋いだままがいい。」
と、再び手を握られ、
また鼓動が強く自己主張を始めた。